ぬらし絵(3) 子育てに、教育にどう役立つの?


前回に引き続き、
6月17日(土)から始まる
色の声をきくシュタイナー水彩
 ぬらし絵講座」の講師、
小林由香さん(アトリエきぎ主宰)に、
ぬらし絵についてお伺いします。


🔳前回までの内容はコチラ
 ぬらし絵(1)「描こう」としない絵画体験!?
 ぬらし絵(2) わたしを励ます芸術体験


Q.子育て中のお母さん、お父さんや、先生にとって、
  ぬらし絵体験は、どのように役に立ちますか?

 (小林さん)
 シュタイナーのことを学んでいたり、
 関心のある保護者や先生方は、
 プロセスを大切にしよう、
 あるいは、自然を生活の中に取り入れよう、など、
 日々、工夫をされている方が多いと思います。

 こうした感性・感覚的なところに、
 非常に関わってくると思います。

 私たちは、「色」あるいは「光と闇」を、
 あまりにも無意識に受け取っています。


 日常生活の中にある色は、
 黄色といえばレモン、バナナ…
 というように記号化されていますね。

 実際には、レモンにもバナナにも、
 様々な黄色があります。

 そして、その「黄色」になるために、
 大変な時間を費やしています。


 あるいは、
 昼間、高い所から明るく
 私たちに降り注いでいた太陽は、
 夕方には、赤くなっていきます。
 刻々と色が変わっていきます。

 昨日と今日でも、全然違いますよね。


 このように、
 「黄色はバナナ」というような
 記号的な「色」とは距離を置いて、
 色彩体験を重ねていくと、

 自然界の色の変化にも
 敏感になることができます

 それだけで、生活が、世界が、
 どれだけ豊になることか…。


 まずはご自分が体験してみると、
 見えない部分に目が向き、
 子どもが言っていることを
 言葉を介さないで理解できるようになる
 のではないでしょうか?


 また、お子さんがぬらし絵体験をする場合にも、
 「何を描いたのか?」ではなく、
 「どんな体験があったのか?」が大切です。


 お子さんの体験を
 受け止めることができるようになったり、

 「元気な赤さんだね。どこに行くのかな?」など、

 子どもの体験を引き出す質問が
 できるようになるかもしれませんね。



ー次回も引き続き、
 小林さんに「ぬらし絵」について
 聞いていきます。

色の声をきくシュタイナー水彩 
ぬらし絵講座 
詳細・お申込みはコチラ

ぬらし絵(2) わたしを励ます芸術体験



前回に引き続き、
6月17日(土)から始まる
色の声をきくシュタイナー水彩
 ぬらし絵講座」の講師、
小林由香さん(アトリエきぎ主宰)に、
ぬらし絵についてお伺いします。

前回の内容はコチラ
 ぬらし絵(1)
 「描こう」としない絵画体験!?

Q. 「ぬらし絵」の良さは何ですか?


 (小林さん)

 「ぬらし絵」の体験では、
 目の前に広がる色そのものを
 見つめていきます。

 そこから何かが始まります。

 色によって動かされる感情や感覚…

 色が今、私にどんなことを
 語り掛けてくるのかなぁ…と、

 委ねてみるんです。


 あぁこの色、私ちょっと苦手だなぁ…
 そうそう、こういう赤いワンピース、持ってたな…

 そんな風に、
 何か自分自身の眠っている記憶に、
 色が働きかけてくれます。

 でもただ、
 色を見つめるだけで何も考えなくてもいいんです。


 こうした色を使った芸術体験の時間は、
 心と色が通い合うような時間でもあるし、
 心の滋養にもなる時間です。


 あなた自身が、
 ただあなた自身でいるためだけの時間
なんです。


 わたしたち大人は、
 自分自身のための時間を持つことって、
 意識して特別に用意をしないと、
 中々できないですね。

 様々な役割を持っていますから。

 色の世界に少し踏み込むことで、
 常から少し離れて、
 「私の心」「私の魂」…そういったものに
 向き合える時間になると思います。


 また、この講座は大人が対象なので、
 共に描く中で感じたこと、
 自分の中に湧き出たことを
 言葉にして共有することができます。

 「この人はこんな感じなんだ」
 「私はそう思わなかったな」などと、
 自分の感覚的な世界を拡げていくことができるのも
 大人がぬらし絵に取り組む
 「良さ」ではないかと思います。

Q. セラピー・療法のような効果を得られるのですか?

 (小林さん)
 色の体験を通じて、
 「自分には無い感じ」を得る、
 例えば、引っ込み思案な方が
 元気に「赤」を塗ると、
 自分の中に元気が入ってくる、
 といった力は確かにあります。

 セラピー的…といえば
 そう言えるのかもしれませんが、
 わたしはあえて、「セラピー」とは言いません。

 色が元気づけてくれる
 色が癒してくれる
 そんな風に思っています。

 目の前で、水の力を借りて、
 色が本当に活き活きと動いてくれます。
 その姿に私たちは結構励まされるんです。

 わたしも、色の体験を重ねていくことで、
 元気をもらっています。


ー次回も引き続き、
 小林さんに「ぬらし絵」について
 聞いていきます。


色の声をきくシュタイナー水彩
 ぬらし絵講座
 詳細・お申込みはコチラから

ぬらし絵(1)「描こう」としない絵画体験!?

6月17日(土)より、
e-waldorfの新しい大人向け講座、
「色の声をきくシュタイナー水彩 
ぬらし絵講座」
が、スタートします。

講師は、
「美術家」で
「シュタイナー芸術教育教師」の
小林由香さん(アトリエきぎ主宰)です。

ぬらし絵は、幼児から取り組むことができ、
シュタイナー教育の入り口にもなる
重要な芸術体験ですが、

「仕上がり」よりも
「プロセス」が重要な体験であるため、
体験をしたことのない方にとっては、
その魅力が伝わりにくいものでもあります。

そこで、今回は小林さんに
「ぬらし絵」とはどのようなものなのか?
どんな体験ができるのか?
具体的に教えていただきました。


Q. 「ぬらし絵」の体験は、
   他の絵画体験とどう違うのですか?

 (小林さん)
 普通、絵を描くときって、
 「形を描こう」とか
 「こんなイメージで描こう」など、
 最初に考えてから描きませんか?


 「ぬらし絵」は、
 ぬらした紙の上に色を拡げます。
 そこで、絵の上で、紙の上で、
 色がどっちのほうに
 広がりたがっているんだろう
 …なんていうことを、考えていくんです。


 今、目の前にある「色」、
 その「色」と「自分自身」とで、
 対話をしていく体験なんです。

 何かの形を描かなきゃダメ、
 というような体験ではないんです。

 色によって、動かされる感情、感覚…
 そのままに委ねてみる、ということを
 紙の上でしてもらいたいと思っています。


Q. 絵が苦手でも、できるのでしょうか?

 (小林さん)
 もちろんです。

 普通の絵画は、乾いた紙に色を塗るとき、
 「描いたら消せないな」とか、
 「失敗したらどうしよう」などと、
 色々思いますよね。

 私もそんな風に育ってきました。

 でも、ぬらし絵には、失敗がないんです。


 紙が濡れていますので、
 水の力を借りて色を動かします。

 黄色が大きくなりすぎた、と思ったら、
 黄色を少し動かしてあげたり、
 取ってあげたりすればいいし、


 この赤は強すぎる、と思ったら
 小さくできます。

 これまで公教育の中で
 体験してきた絵画とは、
 全く異なる体験なんです。


 異なる色を重ねる時も、
 まるで紙の上で人と人が出会うようです。


 例えば、
 あなたが誰もいない公園に
 一人で入っていくのと、

 知人がいる公園に入っていくのと、
 全然違いますよね。


 同じように、
 白い紙に初めて赤色を入れるのと、
 黄色のあるところに赤色が入るのとでは
 体験が全く異なります。

 どんなふうに色を迎え入れていくのか、
 紙の上で様々な物語があります。
 それを、受け止める。そんな体験です。

 絵の上手い・下手は、
 全く関係がないんです。


―次回以降も引き続き、
 小林さんに「ぬらし絵」について
 聞いていきます。


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