イギリスのシュタイナー学校への圧力のこと

 

先日もイギリスのシュタイナー学校に対する政府からの圧力のことをFBに書きました。

 

あれだけでは、何が起こっているのかわからないと思いますので、もう少し実情を書いた2月1日発行のe-waldorf newsletterをここでシェアします。

 

e-waldorf newsletter シュタイナー学校への圧力(イギリスの現状)

 

この記事を書いていた時点ではまだ私の知らなかった事実が、その後明らかになり、うかうかとしていられない圧力がシュタイナー学校全体にかかっているのがわかりました。

 

現時点では、まだ6校が閉校の危機に立たされているだけですが、オフステッド(イギリスの教育監査機関)は、イギリスにある全シュタイナー学校を同じように監査すると言っています。

 

今回問題になっている監査は、ソーシャルケア専門のインスペクターが、シュタイナー学校の弱点である「安全管理」「リーダーシップ」「運営」に特に焦点を当てて行われています。そして、肝心の「教育」に関して全く監査をしないまま、「安全管理」「リーダーシップ」「運営」がオフステッドの求める基準に満たないという理由で、閉校の圧力をかけられているシュタイナー学校が何校もあります。どう見ても、弱みにつけ込んだ偏った監査です。潰すことを最初から目的にしているように思えます。

 

「安全管理」については、上述のnewsletterにも書いたので、ご覧ください。

 

「リーダーシップ」もシュタイナー学校の、弱点となりえます。というのは、シュタイナー学校では教職員が平等の立場にあり、校長もいません。リーダーが学校を引っ張っていくということ自体が、シュタイナー学校の社会観念からずれています。だから、世間一般のリーダーシップの基準で見ると、どうしてもそこは弱点です。

 

今までも、オフステッドの教育基準と、シュタイナー教育の思想は相容れないものがあり、シュタイナー学校はオフステッドにとっては邪魔な存在でした。あるシュタイナー伝統校が問題追求され、閉校に追い込まれ、そこから一気にシュタイナー学校潰しが始まったようです。

 

ここで公開することを実は躊躇しました。シュタイナー学校を快く思わない人にとっては、シュタイナー学校が政府から潰されそうになっているなんてことは格好の批判材料になるからです。

 

 

でも、批判されることを恐れて、事実を隠そうとすることは、私たちが正しいと信じていることさえも隠してしまうことになります。隠していたら、シュタイナー学校をサポートしたいと思っている人にも何も伝わりません。

 

 

閉鎖されてしまった伝統校も、もっと事実を公表していたら、他のシュタイナー学校からもっと支援することもできたはずなのです。部外者には何も情報が公開されていなかったから、部外者は支援もしようがなく、遠巻きに見守るしかなかったのです。手出しできないまま、なんとか立ち直って欲しいと応援する気持ちも虚しく、閉校になってしまいました。

 

 

オフステッドとシュタイナー学校の教育思想の違いは大きく、教育について議論したら平行線をたどり解決しないでしょう。でも、私たちシュタイナー教育関係者は、シュタイナー教育が本当に良いと思って追求してきています。隠すようなことも、恥じるようなことも、何もしていません。だから恐れずに、わかっていることだけでも公の場で書くことにしました。

 

 

イギリスのことは、外国のことです。ドイツにいる私にとって、息子たちの学校は安全だし、直接的被害を被ることはありません。まして、日本から見たらはるかかなたの出来事ですよね。でも、イギリスのシュタイナー学校がこんな形で何校も閉校させられることになったらどうなると思いますか? 世界にある1000校以上のシュタイナー学校の評判が落ちることは間違いがありません。シュタイナー学校は世界最大のオルタナティブ教育ムーブメントです。シュタイナー学校を批判する人たちにとっては、格好の批判材料です。そこを標的にして攻撃しようとしたら・・・イギリスのシュタイナー学校のように潰されることだってありうるでしょう。

 

 

どうか、対岸の火事だと思わないでください。

 

 

今、ブリストルシュタイナー学校が、署名活動と、法的に裁判で戦うためのファンドレイジングをしています。でも私は、ブリストルだけのことではなく、シュタイナー学校全体が協力して対抗していかなければ政府には勝てないと思います。これからもっと生き残りのための活動が出てくるはずだし、それをサポートしていきたいと思っています。

 

 

今日、夫が、ゲーテアヌム教育部門のリーダーに会い、この問題について話をしました。もちろん彼は、この問題のことを懸念しており、近くイギリスへ行き、サポートすることがもう予定されているそうです。

 

 

 

 

ご協力に感謝します。

ブリストルシュタイナー学校を支援する署名

ブリストルシュタイナー学校が法的に戦うためのファンドレイジング

 

 

 

One thought on “イギリスのシュタイナー学校への圧力のこと

  1. 政府の圧力でイギリスのシュタイナー学校が閉鎖に追い込まれている事、とても残念ですね。閉校にならないことを祈ってます。
    しかし、既に閉校に追い込まれた伝統校が事実を周りに公表しなかった(隠す)というのを聞く限り、その体質はシュタイナー学校の共通の問題なのでしょうか。私共はアメリカ在住です。現在12歳になる息子は1歳から親子クラスに参加し昨年5年生までシュタイナー学校に10年通いました。卒業まで通わせる予定でしたが、それこそ「安全管理」「リーダーシップ」「運営」の不安と信頼関係の崩壊で退校いたしました。シュタイナー学校へ通わせる為に家族で引っ越して来ましたので、とても大きな悲しい決断でした。しかし、親としては不安材料を抱えたまま息子を通わせる事は出来ませんでした。私自身もシュタイナー教育の基礎講座を修了し現在もシュタイナー学校で働いてますので、立場的には難しい所におります。シュタイナー教育の素晴らしい理念や方針ら伝統はそのまま大切にしながら、時代に流れも許容しつつ、さらに発展していくことを願ってやみません。

    1. 本田さん
      コメントありがとうございます。情報を公表しなかったことについて・・・、批判を恐れるあまり、閉鎖的になってしまう体質は大いにあると思います。これがシュタイナー学校共通の体質かどうかはわかりませんが、そういう傾向のある学校を多々見てきました。また学校としてのコミュニケーションが下手なために、意思疎通がうまくいかず決裂してしまった・・・というのも、閉校になった伝統校にもあったようです。
      他の教育と同様、シュタイナー教育も完璧ではなく、それでもやはり素晴らしい理念だと私も思っていますので、その良さをさらに伸ばしつつ、今の時代に適応できる大きな視点でこれからもっといい教育になっていってほしいと思います。

  2. 閉校してしまった伝統校で(1年きりとはいえ)教員養成コースに学ばせてもらった者として、とても残念でなりません。事実の公表がうまくできず隠したようなことになったのか、という本田様のご指摘も深く受け取りました。KL校の場合はこれまでも(私の知る範囲においても)様々な問題が続けざまに起こり、なんとか乗り越えてきた様子を伝え聞いていました。絞り出そうにももう力が残っていなかったのかもしれません。
    戦乱や経済の困難よりももっと、教育行政との折り合いが難しいとは。子どもたちのことを思えば分かり合えるはずなのにと言ったら甘すぎるのでしょうか。まさに「今の時代への適応」という大きな課題に、各学校の木曜の会議だけでなく大きく深い連携で取り組んでいけますように。

    1. コメントありがとうございます。
      今回のことは、もともと行政とシュタイナー教育で、「何が子どものために大事なのか」という根本のところが違っているところが大きいと思います。だから、例えば、シュタイナー教育が子どもに良かれと思ってやっている、自然の中の教育も、行政にしてみたら危険となる・・・。

      そんな意見の不合致で目をつけられていたところ、KL校が起こしてしまった問題が、行政側にしたら絶好の攻撃のチャンスとなったと言えます・・・。

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