本記事はシュタイナー教育専門家石川華代のメルマガ記事を元にしています。
シュタイナー教育講座 としくらえみx石川華代コラボ特別企画「カラーとフォルム しなやかな風になろう」 2025.02.23(日) 名古屋にて行われました。その様子をお伝えします。
シュタイナーの幼児教育・色彩・芸術療法専門家 としくらえみさんのワーク
「意志の力」を育てる、ブロッククレヨンの自由な表現
としくらえみさんのワークではブロッククレヨンを使って
色を自由に重ねる時間を持ちました。

使ったのは、えみさんが選んだオリジナル配色のブロッククレヨン。
ふだんとはちょっと違う色の組み合わせに、わくわくしながら、手を動かしていきます。
重ねた色は、毎回ちがう表情を見せてくれます。
二度と同じにならない絵が、描き続けるかぎり生きて動きつづける――
そんな感覚になります。
それが「何かの形」にならなくてもいい。
想像力のなかで、いろんなものに変わっていく。
それもまた、子どもの豊かな遊び。
ぬらし絵でも似たような表現はできますが、
クレヨンには、にじまないからこその手軽さと面白さがあります。
シュタイナー教育 「意志の力」を育てる
さらに今回は、色を力いっぱい濃く塗ってから「削る」という技法も取り入れてみました。
このときに必要なのが、「意志の力」です。

この「意志の力」(=自分から何かをする力)を使うことは、
幼児期から小学校低学年の子どもたちにとって、とても大切です。
けれど、現代の生活では、子どもたちがこの力を自然に育てられる場面が少なくなっているのが現実。
だからこそ、意識的に、こうした活動をさせてあげたいのです。
コピー用紙とブロッククレヨン。
それだけでも、子どもの「意志」を育てる立派なアート体験になりますよ。
””シュタイナーの教育思想では、人間の本性、すなわち内面の特質を、身体(肉体、Leib)、心、(魂、Seele)、精神(霊性、Geist)の3つに分けて理解している。(中略)
魂はさらに意志・感情・思考(表象活動)の3つの領域から理解され、それぞれの発達にふさわしい時期にその能力を伸ばすよう、配慮されている。
引用「シュタイナー教育」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』
シュタイナー教育専門家 石川華代のワーク
幾何学でひらく美の世界
シュタイナー教育専門家 石川華代のワークは幾何学。
あらかじめ用意していった正六角形のトレーシングペーパーを使って、
自由なデザイン創作を行いました。
パーツをくるくる動かしながら、
「これはどう?」「あれもいいかも」と、
自分の手で美しさを探っていく時間。
同じ形でも、組み合わせや並べ方で印象ががらりと変わり、
ひとつとして同じデザインにはなりません。
創作のあとは、簡単な図をもとにした作図へ。
そこに、イスラム模様にも見られるようなフォルムを見つけ、
ていねいに色を重ねていきました。
シンプルな図案の中に、どんな美しさを見出すか。
それは人によって少しずつ異なります。
“普遍的な美しさ”と、
“自分が感じる美しさ”。
その両方を大切にしながら取り組んだ、
静かで深い創作のひとときでした。

としくらえみx石川華代 お話し会 「人間の成長、私たちの進化」
対話から生まれる、自分だけの気づき
としくらえみさんや石川華代、そして参加者のみなさんとの対話の時間もありました。
作品をつくる中で感じたことをきっかけに、
子育てのこと、仕事のこと、
自分らしさやこれからの生き方についてまで、
自然と話が広がっていきます。
「これは自分にとってどうなんだろう?」
そんなふうに、人ごとではなく“自分ごと”として受けとめ、
日々の糧になるような深い対話が生まれていました。

シュタイナー教育 「生きる力」を育む、体験としてのアート
この講座では、幼稚園児から小学校高学年まで、
さまざまな年齢にふさわしいアプローチを通して、
人間の成長そのものを体験できることを大切にしています。
たとえば、クレヨンで自由に描くことと、
コンパスや定規を使って正確に作図すること。
どちらも同じ“表現”ですが、そこで働く私たちの内面はまったく異なります。
やることが変われば、
感じ方も、集中のしかたも、心の動きも変わってくる。
だからこそ、こうしたワークは
単なる「作品をつくる時間」ではなく、
「生きること」そのものにふれる時間になります。
私たちの内にある感性や意志の力。
それを見つけ、育て、少しずつ磨いていく——
そんな、豊かで意味のある体験を重ねていきたいと思っています。