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「なぜそう見えるのか」を、自分の手で知る日 

〜 「なぜそう見えるのか」を、自分の手で知る日 〜
INFINITYクラス(中高生対象シュタイナー数学)から

目次

人間はいつから「奥行き」を描けるようになったか

先日のINFINITYクラス(中高生対象シュタイナー数学)レッスンでは、一点透視図法での作図をしました。

街並みの写真を三枚見せると、生徒たちはすぐに気づきました。「線が全部、一点に集まってる」。そう、遠くへ続く廊下も、石畳の通路も、すべての線が一つの点へと収束しています。

実はこの「遠近法」、人類が絵の中に描けるようになったのはルネサンス期のことです。それ以前の絵画には奥行きがなく、人物も建物も平面的に並んでいました。遠近法の発見は、単なる「上手な描き方」の発見ではなく、人間の意識が空間をどう認識するかという、見方そのものの変容でした。

子どもたちが今日描いたのは、その「見え方の仕組み」そのものです。

「測って半分」にしてはいけない理由

作図を進める中で、一つ重要な問いが生まれます。

壁に窓を等間隔に並べたい。では、定規で測って均等に割ればいい——でも、それでは「奥行きのある絵」になりません。遠くにある窓は、実際には同じ大きさでも、小さく見えるはずだからです。

では、どうするか。窓の対角線を使って、遠近感のある分割を作っていきます。測ることへの信頼ではなく、空間の見え方への信頼。この感覚の違いが、透視図法の核心です。

子どもたちは最初、少し戸惑っていました。でも線を引くたびに、画面の中に奥行きが生まれていく。その瞬間の「あ、そういうことか」という顔が、とても印象的でした。

自分の目で見て、手で確かめる

授業の終わりに一人ひとりの作品を見せてもらうと、それぞれが自分なりの工夫をしていました。天井に照明を描き込んだ子、写真をよく観察して装飾を真似た子、窓枠を丁寧に濃くなぞって光の差す感じを出した子。

「説明していないところも、ちゃんとできてる」と思う場面が何度もありました。

これはINFINITYが大切にしていることと重なります。教わったことをこなすのではなく、自分で見て、感じて、手を動かして確かめていく。「自分でつかみとる学び」です。透視図法は「技術」として教えることもできますが、それよりも「なぜそう見えるのか」を自分の体と手で知ってほしいのです。

本記事はシュタイナー専門家石川華代のメルマガを基に書いています。

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