粘土造形を通じて得られる効果
前回、粘土造形を通じて育まれる、
算数・数学の力について、お伝えしました。
粘土造形は、この場では伝えきれなほど、
効果や他教科との繋がりは多岐にわたりますが、
今回は、その中でも「意志の力」への影響についてお伝えします。
簡単には形成できない自然の粘土
お子さんが普段粘土あそびをするときは、油粘土や紙粘土、蜜蝋粘土、
あるいはご自宅で作られる場合は、
小麦粉や米粉の粘土などが身近なのではないでしょうか?
柔らかく、力をさほどかけなくても思い通りの形になります。
実は、シュタイナー教育の粘土造形で使う粘土は、
陶芸用に使うような自然の粘土。
体温で温めれば、ずいぶん柔らかくはなるものの、
どっしりと重たく、形をつくっていくために少しずつ、
力をかけていく必要があります。
すぐに乾燥してしまったり、あるいは水をかけすぎると
ドロドロになってしまったり、一筋縄ではいきません。
土と対話しながら、手の様々な部分をつかいながら、
時間をかけて形を成していきます。
手を使い、「意志」に働きかける
手は使う部分によって、
思考・感情・意志、それぞれの働きと繋がっています。
作業工程の中で、手のそれぞれの部分を使い、
その全てに段階的に働きかけていきます。
中でも手の付け根は「意志」と繋がっています。
自然粘土の形を変えるためには、
手の付け根を使って力を込めて動かさなければいけません。
粘土を力強く手の付け根で押し込むとき、
「意志」の力が働いています。
こうして時間をかけて土と対話し形を作り上げていくこと、
手を通じて「意志」に働きかけることで、
ものごとを進めていく強い意志の力が、自然と育っていきます。
「意志」の力を育む体験
今、子どもたちを取り巻く環境の中で、
「意志」に働きかけるような体験はどのくらいあるのでしょうか。
スマートフォンやテレビゲームを通じて、
ボタン一つ、指先一つで、欲しいものに辿り着きます。
コロナ禍をきっかけに、学校教育の中でも、
日常的にタブレットが使われるようになったことで、
以前よりも、鉛筆を握る機会が減り、
指先の簡単なタッチで、文字を書くようになりました。
力を込める、時間をかけて取り組む…
このような「意志」に働きかけるような体験は、
日常生活の中では中々得られない状況です。
「あきらめないで」
「最後まで、やり抜こう」
そのような、言葉がけ一つで変わるものではありません。
ものごとを進めていく強い「意志」の力は、
社会の中で自分の考えや想いを具現化するために、
また、自分自身が自由でいるために、必要な力です。
粘土造形のプロセスは、その「意志」の力を、
小学1年生から長い時間をかけて育んでいるのです。
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